君と僕 | チガウカラー by Seedless

チガウカラー by Seedless

「色」をテーマに短くて抽象的なストーリーを紹介していきます。
光の角度によって違う輝きをみせる玉虫色のようなストーリー。
読む人の心の状態によって印象がかわり、決して完結しないため、結論は読み手がそれぞれの創造を膨らませて楽しめるように。

よく行くカフェでいつも見かける人

この街に引っ越してきて2年たった

新しい職場で働き始めた

カフェはその職場のすぐそば

僕が新しい仕事についた最初の日そのカフェで

エスプレッソを飲んだ 

そして君をはじめてみた

君をずっとみつめていた僕の視線に気付いて

君は僕の方をみる

その目は不思議な目

君は僕をみているのに

その視線は僕をとおりすぎる

まるで僕がすきとおったガラスのように

初めて君と言葉を交わした

僕はちょっと背伸びをしてたかな

君はそんな僕に気がついたのだろうか

僕にとって仕事前に飲むカフェでの一杯の

エスプレッソが当たり前になった

君もいつからか僕がカフェに来る頃にカフェに

座っているようになった

時々カフェに君の姿がみえないと

僕はタバコを吸うふりをして外で君を待つ

通りの向こうからこちらに向かってくる君

その姿をみつけると僕は君が僕に気付くのを待つ

ほとんど毎日顔を合わせる君と僕

でも僕らの感じはとても透明

君のこと好きなのかな

君は僕の事が好きなのかな

ただ僕が今漠然と感じているのは

僕と君は一卵性の双子だったといってもいいくらい

心が近いってことかな

Espresso